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「十分なコントラスト」のアクセシビリティ評価基準
説明
「十分なコントラスト」は、障がいがあったり日光が強いなどの環境的な要因があったりして、視力が低下しているユーザを支援する機能です。ユーザは、テキストや図像と背景の間のコントラストを強くしたり調整したりすることで、その見やすさを改善できます。
目標
障がいがあるかどうかに関係なく、すべてのユーザがアプリを使用できるようにする必要があります。「十分なコントラスト」機能の目的は、視力、視覚の明瞭さ、コントラストの知覚などが低下している可能性のあるロービジョンのユーザをサポートすることです。
以下のセクションでは、アプリが「十分なコントラスト」に適切に対応しているかどうかを判断する方法について詳しく説明します。目標は、障がいのあるユーザがアプリの一般的なタスクをすべて行えるようにすることです。以下の評価を実施することで、アプリが「十分なコントラスト」対応であることをApp Storeで記載すべきかどうかを判断できます。
テストの始め方
各デバイスのアクセシビリティ設定には、ユーザが自身の状況に合わせてコントラストをカスタマイズできる機能が多数用意されています。高コントラストを必要とするユーザの多くは、「ボールドテキスト」、「コントラストを上げる」、「透明度を下げる」の設定を有効にします。組み込みのシステム設定を使用することは必須ではありませんが、これらをオンにしてテストすることで、ユーザが期待するコントラストの最小値を把握できる場合があります。独自のアプリ内設定を用意する場合は、システム全体の設定と同様の機能をサポートするか、ユーザインターフェイスをよりきめ細かくカスタマイズできるようにする必要があります。
アプリで「十分なコントラスト」をテストする前に、前述の3つの設定をすべて有効にしてください。アプリが対応している各デバイスでこれらの設定を有効にする方法について詳しくは、以下のリソースを参照してください。
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iPhoneについては、「iPhoneの画面の色を変更して画面上にあるものを見やすくする」を参照してください。
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iPadについては、「iPadでテキストを読みやすくする」を参照してください。
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Macについては、「Macでテキストとアイコンを大きくする」と「Macでアクセシビリティの『ディスプレイ』設定を変更する」を参照してください。
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Apple TVについては、「Apple TVで文字を太くして表示する」と「Apple TVの画面コントラストを上げる」を参照してください。
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Apple Vision Proについては、「Apple Vision Proのテキスト表示設定」と「Apple Vision Proでカラーとコントラストを調整する」を参照してください。
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Apple Watchについては、「Apple Watchでテキストのサイズなどのビジュアル設定を調整する」を参照してください。
アプリの要素のコントラストをチェックする際は、XcodeのAccessibility Inspectorなどのカラーコントラストチェッカーを使用して、各要素のコントラスト比を測定できます。最新のアクセシビリティガイドラインの多くでは、World Wide Webコンソーシアム(W3C)のWeb Content Accessibility Guidelinesで示されている式に基づき、「前景のテキストとその背景の最小コントラスト比を4.5:1」とすることが推奨されています。
アプリがダークモードに対応している場合は、ライトモードとダークモードの両方で最小コントラストを確認するようにしてください。よくある間違いが、ライトモードのインターフェイスでは「十分なコントラスト」に対応しているにもかかわらず、ダークインターフェイスでは対応できていないことです。多くのデベロッパは、ダークモードでの読みやすさを考慮して黒字に灰色の文字を使用しています。これには、標準的な視力のユーザが暗い場所でデバイスを使う場合の目の疲れを軽減する効果がありますが、コントラストが低くなるため、ロービジョンのユーザや光に敏感なユーザからすると、文字を読むのが困難になる場合があります。ダークモードのカラースキームと「コントラストを上げる」設定を組み合わせて、アプリをテストすることを検討してください。
コントラストだけでなく、背景素材、コントロール、コンテンツの透明度(不透明度/ぼかし)についても考慮してください。テキスト、アイコン、その他のコンテンツ、要素、コントロールの見やすさを評価の対象とします。テストは、「コントラストを上げる」がオンで「透明度を下げる」がオフの場合と、両方の設定をオンにした場合で行うようにしてください。
インタラクティブなコントロールや、テキスト以外の手段による状態の表現(選択状態など)については、十分なコントラストを確保するようにしてください。たとえば、カスタムのチェックボックスをデザインする場合は、オンになっている状態とオフになっている状態の間には十分なコントラストを確保する必要があります。非テキストのコントラストについては、一般的に少なくとも3:1のコントラスト比を満たすことが推奨されます。
「十分なコントラスト」のテストに習熟していない場合は、ある程度の時間をかけて、基本以上の知識を習得してください。UIの中で隣接するカラー同士のコントラストが最低限の許容レベルを満たしているかどうかを確認するには、「ヒューマンインターフェイスガイドライン」の「カラーコントラスト比が最低基準を満たすようにする」を参照してください。




「十分なコントラスト」への対応の記載
テキストやボタン、その他のコントロールなど、一般的なタスクで使うユーザインターフェイスが、コントラスト比に関する一般的なガイドライン(通常はほとんどのテキスト要素で4.5:1)をデフォルトで満たしている場合、アプリが「十分なコントラスト」に対応していることを記載できます。
アプリがデフォルトでこの最低限のコントラストに対応していない場合は、以下の手順に従ってください。
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アプリでApple提供のUIフレームワークを使用している場合は、「コントラストを上げる」設定で十分なコントラストが得られるかどうかを確認します。
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アプリでカスタムのフレームワークをサポートしている場合は、コントラストの最低基準を満たす複数のカラースキームの中からユーザが選択できるようにします。
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アプリの一般的なタスクにおいて、サードパーティまたはユーザが作成したコンテンツが必要な場合は、「アクセシビリティラベルの概要」のサードパーティのコンテンツに関する詳細なガイドを参照してください。
アプリの一般的なタスクについて「十分なコントラスト」対応であることを記載できるようになった後でも、アプリのアクセシビリティをさらに改善できる場合があります。アプリをアップデートする際は、その都度、アプリが「十分なコントラスト」に対応しているかどうかを評価し直すようにしてください。アプリのリリースごとに、アクセシビリティを高め、より多くのユーザがアプリを利用できるようにすることを目指しましょう。